スタートアップ時代を振り返って、今思うこと

時がすぎるのは速いもので、もう帰国して2ヶ月が経ちました。 いまでも毎日、イタリア生活に戻りたい・・・と思います。みんなハッピーでオープンで自己主張がしっかりしている環境は自分に合っていたなと思います。ということで、次の目標は仕事で海外に行くことです。いつになるやら。

前置きはさておき、実は4月末に勤めていたアイリス株式会社を退職し、5月から新しい企業に勤めています。 スタートアップから心機一転?グローバル展開している上場企業に勤めています。

今回のブログでは、転職し、前職以前のキャリアに対して客観的・俯瞰的に捉えられているので、感じたことを残しておこうと思います! だんだん慣れてくるから、感度が高い今のうちに、、、


フレキシビリティの高さはどこまで重要か

まず思うこととして、前職と現職で自由度のギャップを感じます。例えば副業の申請プロセスも前職と比較して厳しいし、ワーキングタイムの考え方も(現職でもフレックス制は導入されているものの)異なるなと思います。 一方で、オンオフがついたというメリットもあります。以前のように退社後にSlackやメールを見るみたいな生活ではなくなったし、生活に明確なリズムがついたので、余暇で新しいことにチャレンジしたりしています。

例外はあれど、一般的にスタートアップのほうがフレキシビリティが高いので、そこを失ってもよいのかは私も転職活動時によく考えました。 熟考の末、私にとって優先度が"中"くらいだったのでこれを捨てるか迷いましたが、それでも得るものがあると確信して今に至ります。 まだ転職してすぐなので、ここをどう思うかはじっくり評価していきたいところですが、今のところ悪くない意思決定だったのではと思います。

退勤後にランニング!日が出てるうちに退勤できるなんて!笑

自ら学ぶことの重要性

転職して、何度も大学院に行ってよかったなと感じました。大学院以外でも全然いいから、汎用性が高いことを学ぶことは本当に重要だなと思います。(今後ここをどう取り組むかは、今の悩みのひとつ) ここが一番感じることが多いかも。

特に実務で得た実践力を、いかに体系化できるかにおいて「(理論の)学び」は重要だと感じます。 実務の中で得られる力は、即効性があるし同業務内で汎用性が高いですが、業界・企業・職種が変わっても使えるものにするためには、 体系的に理解することが重要だと身にしみて感じます。

毎日事業を進めることに精一杯の毎日が常なスタートアップですが、毎日30分でも業務から少し離れて体系的な学びを得ることは、もっとできたなと振り返って思います。(いやでも忙しいのよね、うん。)

自分は何のプロフェッショナルか

前職では臨床開発業務を中心に、薬事(承認申請)、広報人事、商品企画、グローバル進出と幅広いプロジェクトを引っ張りました。 スタートアップ勤務で価値とされる「裁量権を持てる、担当できる業務の幅が広い、成長機会がある」等に当たる経験ができたと思います。 一方、転職市場における自分の価値の言語化に、かなりの時間を要しました。

これは自分の飽き性な性格も影響していると思います。前職で、いくらでもどれか一つの領域にフォーカスする機会は与えていただけたはずだけど、それを選択しなかった自分がもたらした結果だなと思います笑

幅広い業務をやってきた経験は、同じようなステージのスタートアップへの転職に際しては魅力と捉えていただけることが多いですが 上場企業のように業務や責任の範囲が明確なポジション募集が多い企業の方からすると、取り扱いに困る人材だろうなと、自覚しました。

幸いに、現職では幅広い経験を肯定的にとらえていただけていて毎日感謝ですが、なかなかレアな?仕事をしているので今後もこの問いには向き合い続けることになりそうです

事業の成長と自分の成長を区別し見定めること

担当領域が順調だとついつい勘違いしてしまいがちだけど、自分にとってストレッチなことができているかは見定める必要があるなと思いました。 特に自分の経験上、2年くらいやると仕事に慣れてきて「うまくこなす」ことができるようになってる気がしてます。 慣れは重要だけど、うまくこなせるようになると、なんとなく仕事が上手くまわせちゃうのですよね。これは停滞という名の、後退の前兆です。 特に事業が追い風だと、ここの見定めが難しくなるなと感じます。

これに気づく効果的な対策は「職務経歴書を書く」だと思います。自分が事業の成長にいかに貢献したかをKPI等を用いて定量的に語れるか。アクションではなくアウトプットで語れるか。 いまの私はこの方法しか思いつきませんが、「自惚れ」には敏感でいないといけないとと日々思います。自戒を込めて。

仕事と家庭のバランス

私がスタートアップを離れた理由トップ3に入るテーマです。 スタートアップでも随分WLBに関する発信が増えたりCEOが子育て中という企業も増えたように思います。 ここは一般化して語りづらいところですが、私は、事業にコミットすること/その姿勢を保つことと、家庭との両立に自信が持てませんでした。 周りがめちゃくちゃ働いていて、仕事量を調整したくても他に代わりに空いている人なんていない(いやいるのかもだけど私はそれでも抑えてもらっていたほうなので言いづらいw)、そして迫る納期、移り変わるスコープ!笑

求められるスピード感やコミットメント、仕事の種類に対する自分の考え方が、昔と変わってきたのだと思いました。(昔はこのスピード感やカオス感にわくわくしていたのも事実) Twitterで「スタートアップに3年勤められても、5年勤める人はすごい」と目にしたことがありますが、それがいまでは良く分かる。。。

ここは結構留学時の欧州での暮らしも影響していて、端的にいうと、もっとゆっくりとした時間の中で過ごしたい欲が増しました この気持ち・考え方を持ったまま、前職には居続けられないなと思ったのが、理由トップ3の一つです。


つらつらと指が動くままに綴りましたが、「自分の価値観はここまで変わるのか」と感じた3年半でした。 毎日ジェットコースターみたいな生活で、そこに自分が貢献して(時に元凶とな)るのを感じられて とても充実していたし、進化できた3年半だったなと思います。

直近の転職背景を記載したので、スタートアップに対するネガティブなところを感じさせてしまうかもしれませんが、 スタートアップの世界に足を踏み入れたことは一切後悔していないし、むしろ充実していたし、またスタートアップ業界に戻る可能性もゼロじゃないと思います。楽しかったもの。いまもスタートアップのことは大好きだから、いろんな企業をたくさんウォッチしてます!

また舞い戻ることがあれば、その時はまた考えを綴ろうと思います! 最後になりましたが、前職で共に闘ったみんなに心から感謝!また一緒に働きたい人にたくさん出会えました☺

退職のときにいただいた花束